○成長ホルモンが有効な低身長症○
成長ホルモンが有効な低身長症には、次のようなものがあります。
①成長ホルモン分泌不全性低身長症
成長ホルモンの分泌が不足しているための低身長症です。したがって不足した成長ホルモンを注射で補ってあげると身長の伸びが良くなります。
②ターナー症候群
これは女子に特有の染色体の病気です。ターナー症候群のお子さんでは、成長ホルモンの分泌は、ほぼ正常です。しかし、放置すると成人になっても140㎝以下の低身長になります。成長ホルモンの効果は大きくありません。しかし、この病気では性ホルモンの分泌が不足するため成熟が遅く子どもの時期(身長が伸びる時期)が長いため辛抱強く治療を続けると効果を期待できます。
③SGA性低身長症
妊娠週数のわりに極めて小さく生まれ、3才までに追いつかないお子さんでは、SGA性低身長症の可能性があります。SGAはSmall(小さい) for(割に) Gestational(妊娠) Age(週数)の頭文字をとったものです。
SGA性低身長症のお子さんでも、成長ホルモンの分泌はほぼ正常です。成長ホルモンの不足はないのですが、少し多めの成長ホルモンを投与しますと効果が出ます。
④その他
軟骨異栄養症、プラダーウィリー症候群、慢性腎不全による低身長など
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◯◯成長ホルモンの注射◯◯
成長ホルモンの内服薬は存在しません。皮膚の下5mmの部位に皮下注射します。この注射は安全性が高いため、自宅で自己注射あるいは保護者による注射が認められています。そのために非常に簡単に注射できるペンのような形をした注射器が開発されています。
また最近では、ボタンを押すだけで注射できる全自動の注射器や針のない圧力式注射器も登場しています。
成長ホルモンの注射器
◇ペン型成長ホルモン注射器
注射器の取扱いは簡便です。しかし、自分で、あるいは保護者がお子さんに針を刺す必要があるため注射の練習に時間がかかります。
◇全自動成長ホルモン注射器
注射器の取扱いは煩雑です。しかし、一度覚えてしまえば注射は自動的に行われますので日々の注射のストレスは少ないです。

◇針なし成長ホルモン注射器
注射器の取扱いは煩雑で日々の注射にも時間がかかります。低年齢で注射をこわがるお子さんには用いることがあります。

○成長ホルモン投与中の学校生活○
成長ホルモンの注射を始めた低身長お子さんの日常生活上の特別な注意点はありません。
運動は自由、食事も自由です。
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