成長ホルモン治療Q&A
〜子どもの低身長専門外来〜
ぬかたクリニック
  
小児科専門医   額田 成(ぬかた おさむ)
JR兵庫駅前 TEL 078-515-5152


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成長曲線について    肥満度曲線について

成長ホルモンに関する皆様からの質問について、分かりやすく説明しています。
1.低身長のめやす
Q.
うちの子は他のお友達と比べてずいぶん身長が低いのでとても心配しています。病気の可能性はないのでしょうか?
A.
   同年代のお子さんと比べてずいぶん身長が低いという場合、まず表1に示す−2SDの基準以下かどうかを確認して下さい。−2SDの基準というのは、同い年のお子さんが100人いたとして低い方から2人目くらいまでを言います。これをもっと簡単に言うと、2学年下のお子さんと比べても低い身長で、当然クラスでは1番低く、前から2番目のお子さんと比べてもずいぶん低いという状態です。
   ただし、−2SDの基準を上回る身長でも、年間の身長の伸びが悪い場合は心配です。“1年間で少なくともこれくらいは伸びる”という基準を表2に示してありますので参考にして下さい。
   お子さんの身長が−2SDの基準以下であり、しかも伸びも悪いような場合は、一度検査を受けた方が良いでしょう。
《表1》 《表2》
これ以下の場合は心配です。 最低でも1年間でこのくらい伸びます。
年齢(歳) 男子(cm) 女子(cm)
69.8 68.4
79.4 78.4
86.4 85.5
92.5 91.9
98.1 97.7
103.8 103.4
109.5 108.8
114.7 113.9
119.7 118.8
10 124.5 123.9
11 128.9 130.2
12 133.9 137.0
13 140.7 142.3
14 148.6 145.3
15 154.7 146.5
16 157.7 147.1
17 158.8 147.4
年齢(歳) 男子(cm) 女子(cm)
1〜2 8.9 8.8
2〜3 7.0 6.8
3〜4 6.0 6.0
4〜5 5.4 5.6
5〜6 4.9 5.2
6〜7 4.5 4.9
7〜8 4.5 4.4
8〜9 4.3 4.1
9〜10 4.0 4.4
10〜11 4.0 6.0
11〜12 4.5 6.1
12〜13 6.9 2.9
13〜14 6.9 1.1
14〜15 3.3 0.4
15〜16 1.4
※1〜2歳の伸びとは、
  1歳6ヶ月での伸び率です。


スクリーニング検査

   

2.治療が必要な病気の頻度
Q.
成長ホルモン治療が必要な子どもの頻度はどのくらいでしょうか?
A.
低身長のお子さんがすべて病気であるというわけではありません。身長が-2.0SD以下の低身長でも9割以上のお子さんは検査を行っても異常が見つかりません。治療が必要な病気が見つかるお子さんは1割に満たないのです。
 これを分かりやすくすると下の図のようになります。同年齢のお子さんが1000人いたとして、身長が-2.0SD以下の低身長のお子さんは23人くらいになります。しかし、この23人のうち治療が必要な病気が見つかるのは2人くらいなのです。したがって1000人中2人くらいが病的な低身長ということになります。


3.低身長の検査(最初にするスクリーニング検査)
Q.
うちの子は−2SDの基準以下の低身長で、しかも身長も伸び悩んでいます。病院を受診したいのですが病院ではどのような検査をするのでしょうか?
A.
身長の低いお子さんに対して最初に行う検査には、次の4つがあります。

@ 成長曲線を正確に描きます。これは何歳何ヶ月で何cmであったかという過去の記録をご持参頂き、それをもとにお子さんの身長の伸び(推移)をグラフにすることです。このグラフすなわち成長曲線のパターンを分析することが重要です。
A お子さんの手の骨のレントゲンを撮ります。身長が伸びていないということは、骨が伸びていないということなので、手の骨のレントゲンを見ることによって発育の度合いを知ることができます。
B 血液の検査をします。最も大切なのは、骨を伸ばす重要なホルモンであるソマトメジンC(IGF-1)の測定です。夜間成長ホルモンが十分に分泌されていると、成長ホルモンは肝臓やその他の組織に集まります。そして成長ホルモンが多ければ多いほど、肝臓やその他の組織でソマトメジンCが作られるのです。したがってソマトメジンCを測定することによって、間接的に夜間成長ホルモンが分泌されていたかどうかがわかるのです。


また、染色体の検査はターナー症候群などが疑われる場合は必要です。
以上が、まず最初に行う検査(スクリーニング検査)です。


成長ホルモン分泌刺激試験


4.成長ホルモン分泌負荷試験
Q.
成長ホルモン分泌負荷試験について教えて下さい。
A.
身長の低いお子さんが前述のスクリーニング検査を初日に行いますが、その結果成長ホルモン分泌不全の可能性がある場合は、その診断を確定するために成長ホルモン分泌負荷試験を行います。成長ホルモン分泌負荷試験とは、お薬を使ってあたかも夜間のように成長ホルモンが脳下垂体から出やすい状態にし、一定時間毎に採血をして血液中の成長ホルモンがどれくらい出ているかを確認する検査です。

成長ホルモン分泌負荷試験には次のようなものがあります。

@アルギニン負荷試験 
Aクロニジン負荷試験 
BL-DOPA負荷試験 

この3種類の検査は、いずれも成長ホルモンの分泌を刺激するお薬です。これらの負荷試験を用いて脳下垂体を刺激しても成長ホルモンが出ていない、もしくは少ない場合は、成長ホルモン分泌不全性低身長症であると診断されます。



5.成長ホルモン分泌負荷試験の安全性
Q.
うちの子はとても恐がりなので、成長ホルモン分泌負荷試験を受けるのを非常に嫌がっております。
また母親としては、検査の副作用も気になります。
A.
 成長ホルモン分泌負荷試験を行うためには、採血する必要があります。お子さんにとって採血というのは嫌なものです。しかも成長ホルモン分泌負荷試験の場合は30分毎に何度か採血する必要があります。
 そこで、お子さんの苦痛を少しでも和らげるために、まず最初にビニールの細い針で点滴をします。一回目は針を刺しますので少し痛みはありますが、2回目からはその点滴の細いチューブから血液を逆流させて採血しますので痛みはありません。三歳以上のお子さんなら安心してできる検査で、恐がりのお子さんでも大きな心配はないでしょう。

 また成長ホルモン分泌負荷試験の副作用については、それぞれの負荷試験の検査によって違います。アルギニン負荷試験は全く無害と考えていいでしょう。クロニジン負荷試験は血圧が少し下がるので眠気を催します。クロニジン負荷試験を外来で行う場合は、ふらついて転んだりすることもあるので帰りはなるべく車が良いでしょう。またクロニジン負荷試験は喘息の人には良くないと言われていますが、実際この検査を行って喘息が起こることは非常に稀です。L-DOPA負荷試験については多少の吐き気を伴いますが、検査終了後しばらくすると吐き気はおさまります。


6.検査が正常の場合
Q.
成長ホルモンの検査を受けたところ、成長ホルモンの分泌は正常と言われました。
それでも身長がとても低いので、成長ホルモンの注射で身長を伸ばしたいと思うのですが?
A.
成長ホルモンの検査(成長ホルモン分泌刺激試験)に全く異常が見られない場合、つまり成長ホルモンが正常に分泌されている場合には、成長ホルモンの注射を行っても治療効果は期待できません。成長ホルモンが不足しているお子さんのみ有効です。従って、要望があっても成長ホルモンの注射を始めることはできないのです。
(但し、SGA性低身長症、ターナー症候群および軟骨異栄養症など一部の病気では、成長ホルモンの不足がなくても成長ホルモンは有効です。)


7.なぜ成長ホルモン療法が必要か
Q.
なぜ成長ホルモンの注射が必要ですか?そのうち自然と伸びが良くなることはないのでしょうか?
A.
成長ホルモン分泌負荷試験を行い、成長ホルモンが不足しているという結果が出た場合、成長ホルモン療法が必要です。成長ホルモンが不足しているお子さん(成長ホルモン分泌不全性低身長症)は、「おくて」で思春期が遅いので周りのみんなより遅れて思春期を迎えます。その時期には身長の伸びは少し良くなりますが、その時期までに標準身長とはかなりの差ができてしまっています。したがって、伸びる時期が遅れて来たとしても、標準身長には追いつかないのです。
身長を伸ばすには「不足しているものを補う」のが原則です。成長ホルモンが不足していたら成長ホルモンを補うべきなのです。


8.成長ホルモン在宅注射
Q.
成長ホルモンは、自宅で子ども又は親が注射するものだと聞きましたが、うちはまだ子どもが小さいので子どもにさせることはできません。また、私は不器用で注射ができるかとても心配なのですが大丈夫でしょうか?
A.
成長ホルモンの注射は在宅注射と言って、自宅で行うのが原則です。そのために、非常に簡単に注射できるペンのような形をした注射器が開発されています。また病院においても、医師や看護師が何度も注射の仕方を指導するので必ずできるようになります。私はこれまでに300人くらいの方の指導をしましたが、最初はとてもできないと言われる保護者の方でも、最終的にはちゃんと注射できるようになりました。また注射と言っても、非常に短い数mmの細い針をおしりや太ももに皮下注射するだけですので、血管注射や筋肉注射といった難しい注射とは全く違うのでご安心下さい。

〜体験談(成長ホルモン療法を開始した7歳の男の子の母親談)〜
最初、先生から「お母さんが注射するんですよ」と言われた時、「大変だ」と思いました。
でも、病院で先生や看護師さんから丁寧に指導していただき、注射器も私が想像していたものとは違いペン型のとても使いやすいものでした。子どもも「痛くないよ」と言ってくれました。


9.毎日の成長ホルモン注射
Q.
成長ホルモンの注射は、どうして毎日うたなければならないのですか?
また、何時くらいにうったら良いのですか?
A.
成長ホルモンの注射は、ほぼ毎日(1週間に6日か毎日)行います。成長ホルモンは本来、毎日脳下垂体から分泌されるホルモンなので、これを注射で補う場合も毎日補う方が良いのです。また、多くの量をまとめて注射しても効果が少なく、かえって副作用が出やすくなります。
成長ホルモンは、少しずつ毎日注射した方が高い効果が得られるのです。

注射の時間は特に決まりはありませんが、成長ホルモンは夜間に多く分泌されるので、注射も入浴後寝る前などに行った方が良いでしょう。


10.成長ホルモンの治療期間
Q.
成長ホルモンの注射はどのくらいの期間行うものでしょうか?

A.
成長ホルモンの治療を開始すると、身長増加は約1.5〜2倍になります。たとえば、成長ホルモン治療を開始するまでは1年間に4cmしか伸びていなかった場合、6〜8cm伸びます。これだけ伸びたとしても、標準身長に追いつくには何年もかかります。お子さんの伸びが良くなっても周りのお子さんの身長も伸びているわけですから、1年に2〜3cmずつくらいしか周りのお子さんに追いついていかないのです。
したがって、治療には何年も要しますし、それに加えて周囲の心理的サポートも重要となります。成長ホルモン注射の効果が得られなくなる時期(骨年齢が男子17歳以上、女子15歳以上)になると治療は終了します。この時期になるとこれ以上骨が伸びなくなり、いくら成長ホルモンを注射しても身長は伸びないからです。



11.成長ホルモンの効果
Q.
成長ホルモン療法を始めると、身長はどのくらい伸びるようになりますか?

A.
成長ホルモン注射を始めますと、身長の伸びが治療前は1年間に4cmだったとすると6〜8cmくらいになります。治療効果は、初めの1〜2年に大きく、その後はなだらかになることもありますが、それでも治療前と比べると良く伸びます。



12.成長ホルモン治療は早く開始した方が良い

Q.
成長ホルモンの治療は、子どもがまだ小さいうちに始めた方が良いのでしょうか?

A.
成長ホルモン療法は、なるべく早く開始した方が良いでしょう。治療を始めると身長の伸びは良くなりますが、標準身長に追いつくには何年もかかります。それはたとえお子さんの身長の伸びが治療により良くなったとしても、周りのみんなの身長も伸び続けているからです。


13.成長ホルモン治療中の通院(定期検査)
Q.
成長ホルモンの治療を始めた後、病院への通院はどのようになりますか?うちの子は受験を控えているので通院にどのくらい時間がかかるのか気になります。
A.
まず治療スタート時は保護者の方とお子さんが一緒に来院し、注射の練習を行います。練習には2時間程かかりますが、1度の練習でマスターできなかった場合は2日程かかる場合もあります。しかし多くの方が1日の練習で注射はマスターできます。
そして在宅注射開始後は、1ヶ月目、2ヶ月目、3ヶ月目にお子さんと保護者の方が一緒に来院し、診察、身長測定、副作用の有無のチェックのための定期検査を行います。
3ヶ月以降は、2〜3ヶ月に1度お子さんが来院し、同様の定期検査を行います。それ以外は保護者の方がお子さんの状態を報告し、成長ホルモンのお薬を取りに来るだけになりますので、お子さんの負担はそれ程大きなものにはならないでしょう。


14.他の薬との関係

Q.
うちの子は、喘息の治療のためお薬を何種類か飲んでいるのですが、成長ホルモンの治療と重なっても問題にならないでしょうか?

A.
成長ホルモンは本来人間の体の中にあるホルモンですから、他のいかなるお薬と重なっても通常は問題ありません。唯一の例外は糖尿病のインスリンだけです。それ以外の、喘息のお薬、風邪薬、抗生物質など何と重なっても問題ありません。また予防接種や病気で点滴を受けたという場合などでも、同時に成長ホルモンの注射を行っても全く問題になりません。ご安心ください。



15.治療費用
Q.
成長ホルモンは非常に高価なものだと聞きましたが、成長ホルモンの治療を始めた場合、医療費はどのくらいかかるのでしょうか?
A.
成長ホルモンの治療には公費負担の制度があります。
具体的には、お子さんの身長が−2.5SD以下で、なおかつ成長ホルモン分泌負荷試験において2つ以上の検査で分泌低下が見られ、あきらかに成長ホルモンが少ないと判定された場合には医療費の補助を受けることができます。したがって経済的な理由で治療ができない、ということはありません。
なお、−2.0SD以下で−2.5SD以上の場合は公費負担の制度はありませんが、健康保険を利用した治療が可能です。
また、費用が高額になる場合は、高額医療の制度も利用することができますので治療開始前に主治医の先生とよくご相談ください。

     ※−2.0SD以下:1000人中前から23番目程度の低身長
      −2.5SD以下:1000人中前から6番目程度の低身長


16.体調が悪いときの注射
Q.
風邪をひいて熱があるときなどでも、成長ホルモンの注射を行っても大丈夫ですか?
A.
成長ホルモンは本来、体の中にあるホルモンなので、病気のときに注射しても大丈夫です。しかし、体調が悪く、つらそうな日には注射をお休みしても構いません。


17.注射時間
Q.
毎日の注射にはどのくらい時間がかかりますか?
A.
注射器を冷蔵庫から出し、針を付け、注射部位を消毒し、投与mg数を合わせ、注射するだけですから、3分くらいのものでしょう。


18.成長ホルモン注射の跡
Q.
毎日のように注射していると、注射の跡形ができたりすることはないのでしょうか?
A.
成長ホルモンの注射は、皮下注射(皮膚の5〜8mm下の浅い部分に行う注射)ですから、しこりができることは普通 はありません。たまたま血管があるところに当たって青あざ(内出血)ができる場合がありますが、これもすぐに消えますので心配はありません。


19.成長ホルモン注射の痛み
Q.
成長ホルモンの注射の痛みはどの程度のものなのでしょうか?
A.
成長ホルモンの注射は、極めて細い針で、皮膚の浅い部分(5〜8mm)に行う皮下注射ですので痛みはごくわずかです。痛みが少ないので、寝てから注射しても目を覚まさないお子さんも多いようです。痛みが気になる場合は、アイスノンや氷で注射部位を1分程冷やした後、注射すると痛みは非常に軽くなります。(この際、冷やし過ぎには注意しましょう。)


20.甲状腺ホルモン

Q.
成長ホルモンの注射以外に飲み薬を飲んだりする必要はありませんか?

A.
成長ホルモン分泌不全性低身長症の治療は、基本的には成長ホルモンの注射だけです。しかし成長ホルモンが不足しているお子さんには、甲状腺ホルモンの不足も見られることがよくあります。
成長ホルモンは頭の中の脳下垂体から分泌され、甲状腺ホルモンは喉のあたりにある甲状腺から分泌されます。この2つの臓器は離れていますが、実は甲状腺ホルモンは脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンのコントロールを受けているのです。
成長ホルモンの少ないお子さんの場合、この甲状腺を刺激する甲状腺刺激ホルモンも少ない場合がしばしばあります。つまり甲状腺ホルモンを出す力が少し弱いのです。このような場合、同時に甲状腺ホルモンのお薬を飲む必要が出てきます。
甲状腺ホルモンの内服は、不足分をごく少量補うだけですから副作用の心配はありません。甲状腺ホルモンも骨の発育に欠かせない大切なホルモンなのです。



21.副作用
Q.
成長ホルモン療法の副作用はありますか?
A.
ほとんどの場合副作用はありません。しかし次のような点には注意しましょう。
治療初期に頭痛を訴えるお子さんがまれにありますが、一時的なもので、通常長引くことはありません。
成長ホルモン療法中に骨や関節のトラブルが起こることがありますが、これは治療効果が高く、身長増加が顕著な場合によく見られます。一種の成長痛と考えて良い場合が多いのですが、股関節の痛みが強い場合は注意が必要です。
側彎症のあるお子さんでは、成長ホルモンによる身長増加で悪化する可能性があります。
極めてまれですが、糖尿病、甲状腺機能亢進症、ネフローゼ症候群などになる可能性もあると言われています。
以前、白血病の発症率が高くなると言われていたことがありますが、現在では心配ないという結論に達しています。
定期検査で副作用の有無をチェックしながら治療を進めますのでご安心下さい。


22.効果が出にくい場合
Q.
成長ホルモン分泌不全性低身長症でも効果が出にくい場合がありますか?

A.
以下の場合は、効果が出にくいことがあります。


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