夜尿治療のポイント
- 夜尿の治療で最も重要なことは、夜尿の原因を明確にし、原因に基づいた治療を選択することです。
まず最初に、尿量(特に夜間尿量)が多いための夜尿なのか、膀胱が小さいための夜尿なのか、排尿神経中枢の問題なのか、あるいは別の隠れた病気により二次的に夜尿がでているのかの見極めが大切です。
- 1.多尿型夜尿症
- 尿量が多いためにおこる夜尿です。
表1に平均的な小児の尿量を示しますが、昼間の尿量が正常でも夜間睡眠時尿量が5ml/kg以上(体重1kgあたり5ml以上)の場合も多尿型夜尿症と分類されます。
夜間睡眠時尿量=[夜尿の量]+[朝一番の尿の量]です。
5ml/kg以上とは、20kgのお子さんの場合で100ml以上、30kgのお子さんの場合は150ml以上となります。
体重にかかわらず、夜間睡眠時尿量が250mlを越える場合は、
典型的な多尿型夜尿症です。
表1.正常小児の尿量
年齢 |
3〜5歳 |
5〜8歳 |
8〜14歳 |
14歳以上 |
1日尿量 |
500〜600cc |
600〜800cc |
800〜1200cc |
1000〜1500cc |
- 2.膀胱型夜尿症
- 機能的膀胱(ぼうこう)容量(尿を我慢して最大限に尿をためた時の尿量)が
体重1kgあたり7ml以下の場合です。
つまり体重が20kgのお子さんの場合140ml以下、30kgのお子さんの場合は210ml以下の場合が
膀胱型夜尿症です。
実際に膀胱の容積が小さい場合と、膀胱自体は小さくないが充分に尿をためることができず
漏れてしまう場合がある。
- 3.未熟型夜尿症
- 排尿機能が未熟なための夜尿です。
夜間睡眠時尿量は多くなく、また機能的膀胱容量も小さくないのに夜尿が続く場合は、
排尿機能が未熟なための夜尿の可能性があります。
- 4.その他
- 二次性夜尿といって、神経疾患、内分泌疾患、代謝疾患、心理的な原因等が隠れているために起こる夜尿症があります。一度止まっていた夜尿が、再び始まった場合は特に注意が必要です。
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