成長ホルモン治療の実際

1)成長ホルモン治療開始の時期
 成長ホルモン分泌不全性低身長症の治療は、早期診断、早期治療開始が原則です。低年齢の子どもでは、注射が強い精神的ストレスになる可能性がありますので、注意が必要です。ただし、注射器の改良が進み、針も極めて細くなったので、注射の痛みによるストレスは、少なくなっています。軽症例では、小学校3、4年で治療を開始しても、平均身長に達する場合もありますが、重症例では、もっと早く、治療を開始するべきです。

2)成長ホルモン治療中止の時期
 骨年齢が男子17歳以上、女子15歳以上になると、治療効果がほぼなくなると考えられるので、治療を中止します。つまり、この時期になると、骨端線(成長線)が閉鎖し、これ以上骨が伸びなくなるのです。また、それ以前でも、身長が十分に伸びた場合も治療を中止します。

3)誰が、いつ注射するのか
 成長ホルモン製剤は、在宅注射が認められているので、現在は、ほとんどの場合、自宅で、自己注射を行っています。小さい子どもの場合は、親などの保護者が行なうのが一般 的です。病院では、保護者に皮下注射の打ち方を最初に指導します。注射は通常、夜間に行います。これは、成長ホルモンが、夜間睡眠中に多く分泌される点から考えて、生理的にも、いちばん適時とされているからです。  注射は、皮下注射です。注射できる場所は、臀部、大腿部、上腕部などです。親が子どもに注射をするときは、一般 的には臀部ですが、坐骨神経がある下部は避けたほうがよいでしょう。本人が自分自身で注射を打つときは、大腿部に打ちます。

4)注射の苦痛の軽減
 注射の苦痛を軽減するためには、痛みの少ない注射法の指導は欠かせません。皮下注射は針の刺入、薬の注入および抜針の3つの段階がありますが、針の刺入は速やかに手ぶれなく行います。薬の注入の時、手ぶれに気をつけます。抜針は、刺入された角度で行い、手をこねないよう注意します。また、注射に対する精神的サポートも必要で、家族全員が温かく見守ってあげることが大切です。母親が注射をしている場合でも、母子だけで治療を行うのではなく、父親も“がんばっているね”と声ぐらいはかけてあげてほしいですね。

5)定期検診の内容
 注射がきちんと行なわれているかどうかを、問診し、身長、体重の測定を行います。年に1〜2回は、骨年齢を見るために、レントゲン検査を行います。 治療開始当初は、毎月、その後は3か月ごとに、尿検査、血液検査、一般生化学検査、ホルモンの検査などの検査を行います。これらの検査は、副作用の早期発見や治療効果 の確認などのために行なわれます。

 



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