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どんな運動をどの程度すればよいのか。姿勢についてもふれます。
- 年々減少する子どもの運動時間
- 運動は骨の成長に欠かせない
- どんな運動をすればよいか
- 過度の運動はよくない
- 姿勢が良いと背が高く見える
- 姿勢を良くする体操
- 絶えず良い姿勢を意識する
- 机、イスに注意
- 歩きやすい靴を選ぶ
1.![]()
子どもの運動時間は、年々減少してきています。現代の子どもは、明らかに運動不足です。
少しデータが古いのですが、日本学校保健学会が1981年と1992年に
「前日に学校以外で運動やスポーツをしたかどうか」を調査したところ、
1981年が37.2%であったのが、1992年には21.3%と
約10年で約16ポイントも低下していました。
運動できない理由は、「時間がない」「場所がない」「仲間がいない」などと子ども達は言っていますが、
「運動の楽しさを知らない」のも大きな原因のように思われます。
外で、のびのび楽しく、体を動かして遊ぶことを、ぜひ教えてあげたいものです。
ビデオの楽しさよりも、鬼ごっこの楽しさを教えてあげましょう。
ファミコンは買わない!ボール、なわとび、バット、グローブ、バトミントン、フリスビー、
スポーツシューズなど、子どもが体を動かしたくなるものを、誕生日プレゼントなどには選びましょう。
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2.![]()
適度の運動は、子どもの身長増加には欠かせません。
運動不足の子どもは、食欲がでませんし、夜なかなか寝つきません。
その結果、翌朝眠くて眠くて、朝食もとらずに学校へ行く。ボーッと一日を過ごし、
また一日運動不足で過ごす。このような、悪循環に陥っていませんか。
運動はそれ自体、成長ホルモンの分泌を促します。
運動は熟眠をもたらし、このことが成長ホルモン分泌を促すことは、言うまでもありません。
十分に体を動かすと食欲が増し熟眠できます。
そうすると、翌朝スッキリと目覚め、朝食もしっかり食べることができ、良い形で、一日をスタートできます。
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3.![]()
身長を伸ばすにはどのような運動をすればよいのでしょうか。
身長を伸ばすためにバスケットボール部に入ったというお子さんの話をよく聞きますが、
バスケットボールは身長を伸ばすのでしょうか。
簡単に言うと、食欲を増進し、熟眠をもたらし、
ある程度骨に縦方向に圧力がかかる運動が身長を伸ばすのには適しています。
具体的には、ジョギング、なわとび、ダンス、バスケットボール、バレーボールなどです。
ただし、バレーボールやバスケットボール選手にはもともと身長の高いお子さんが多いので、
好きでもないのに身長を伸ばすためにこれらの運動をするのは間違っています。
身長の増加には情緒の安定も大切ですからお子さんの好きな運動を選ばせてあげるべきす。
ただ、消耗の激しい過度の運動は身長増加の止まってくる高校生になってからにする方が良いでしょう。
骨の発育には、適度の運動によって縦方向の圧力がかかることが必要です。
しかし、圧力が強すぎても(重量挙げなど)、骨は縦に伸びにくくなります。
4.![]()
子どもにとって運動の目的は、競技会で良い成績を残したり、大会で勝ち進むことではありません。
子どもにとっての運動は、発育を促す為のものであるべきです。子どもをシゴくのは良くありません。
バテてしまって、ろくに夕食も食べられないような運動は有害です。
運動のしすぎで疲れて、ろくに食べず、ジュースだけ飲んでバタンキュー。
これでは、身長が伸びないばかりか、健康を害してしまいます。
シゴキに耐えられるのは、高校生になってからです。
たとえばマラソン等の長距離走は高校生になって体ができてから行わないと
身長増加に悪影響をきたすことがあります。
ニコニコ、のびのびと運動を楽しみましょう。
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ある日、著者の低身長外来に中学生の女の子が、是非とも背を伸ばして欲しいと言って訪れました。
見た所、決して身長は低くないのですが、宝塚音楽学校に入りたいが、
この身長では入学できそうにないとのことなのです。彼女の身長は158cmでした。
日本人女子の平均的身長です。
彼女は初潮後3年が経過し、手の骨のレントゲン写真でもすでに骨端線が閉じてきており、
もはや伸ばす方法はありませんでした。
私の見た所でも、外来の看護婦さんが見た所でも、160cm以上あるようにみえました。
これはなぜでしょうか。理由は彼女の姿勢が非常に良いからなのです。
彼女は小さいときから、バレエを習い、また歩き方の指導も受けているのです。
姿勢が良いと、身長は高く見えるものなのです。
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次に、姿勢を良くする体操について述べますが、不良姿勢も重症になると体操だけでは治りません。
整形外科の医師に相談した方がよい場合もあります。
姿勢を良くするには
■腹筋、背筋の強化
次のような体操を毎日、5〜10回程度繰り返すと良いでしょう。
腰痛を予防する効果もあります。
1.腹筋強化
次の図に示すように、膝を曲げて仰向けに寝る。5秒程度上体を上げる
2.中殿筋、小殿筋強化
横向き(側臥位)になり下肢をまっすぐ伸ばしたまま、天井方向に挙げる。
3.大殿筋強化
うつぶせ(仰臥位)になり、下肢をすこし天井方向に挙げる。
4.背筋の強化
うつぶせになり、両手を腰の後ろに組み、ゆっくりと上体を挙げる3〜5秒静止する。
基本姿勢 膝を立て、
ゆっくり腹式呼吸をしてリラックスする
腹筋強化1 肩が床から25cmの所で止め、
5秒ふんばり ゆっくり元に戻す
腹筋強化2 1と同じ要領で ねじりながら起きる。
5秒ふんばり ゆっくり元に戻す
■軟部組織の進展
いわゆるストレッチング運動を行い短縮している軟部組織を伸展する。
代表的な体操を図に示しました。また、水泳のような全身運動も効果があります。
大腿後面の伸展運動
腰椎伸展運動
背柱伸展運動
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絶えず良い姿勢を意識することが大切です。
思春期の女の子では乳房が目立つのをいやがり円背をとることがあります。
ワンポイントアドバイス
姿勢を良くするコツ頭のてっぺんの髪の毛に風船を結びつけ、 いつも上に引っ張られているイメージを持つ。
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子どもの学習机が不適切だと姿勢を悪くします。図に適切な机、椅子を示しました。
椅子は、足を平らにして床につけられ、太ももが椅子から浮かない程度の高さがよいでしょう。
机は、背筋を伸ばした姿勢で上腕が垂直となる高さ。
また、両足が余裕をもって机の下に入るようにします。
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9.![]()
くつのサイズにも気をつけましょう。
子どもの足は、小学生では1年に8ミリ程度、大きくなります。
くつのサイズは、大きすぎても、小さすぎても不良姿勢の原因になります。
また、足元が不安定だと、身長増加の妨げにもなります。
最近、外反母趾の子どもが増えています。
くつはサイズだけでなく、形にも気を付けて選びましょう。
不適切なくつは外反母趾の原因になります。